牧野フライス製作所「V300」登場──金型加工の未来を切り拓く次世代マシニングセンタ

製品紹介

はじめに

工作機械業界において、精度・安定性・生産性の三拍子が揃った設備は、ものづくりの根幹を支える存在です。2025年、牧野フライス製作所が発表した新型立形マシニングセンタ「V300」は、まさにその理想を体現する一台。金型加工市場で高い評価を得てきた「V33i」の後継機として、さらなる高精度・高面品位加工を実現する革新機です。

本記事では、V300の特長、搭載技術、仕様詳細、そして導入によるメリットについて詳しく掘り下げていきます。

「いつでも、どこでも、だれでも」──V300のコンセプト

V300は、「いつでも、どこでも、だれでも」をコンセプトに掲げ、作業環境に左右されない安定した加工性能を提供します。長時間運転でも加工面段差±1.5μmという高精度を維持し、金型加工における自動化・省エネルギー化のニーズにも柔軟に対応可能です。

特長1:長時間運転でも安定した加工精度

V300は、XYZ全軸に摺動面冷却を施し、ボールねじやモータジャケットの冷却も徹底。主軸には軸芯冷却とアンダーレース潤滑を採用し、機械本体の発熱を抑制しています。これにより、長時間の連続運転でも加工精度が安定し、面品位のばらつきが極限まで抑えられます。

特長2:環境温度変化への対応力

工場環境の温度変化は、工作機械の姿勢変化や位置決め誤差の原因となります。V300では、ベッド・コラムスタビライザ(特別仕様)を搭載し、内部に専用液を充填することで姿勢変化を抑制。さらに、制御機能「eSTABILIZER」により、環境温度に応じた最適化が可能となり、加工品質の安定化に大きく寄与します。

特長3:マキノ独自のGI制御による生産性向上

V300には、マキノ独自の「スーパーGI.6制御」が搭載されています。GIスムージングによる面品位向上、GIドリリング・GIミーリングによる非切削時間の短縮、GIブレーカによる切りくずトラブルの防止など、加工プロセス全体の効率化を実現します。

加工事例から見るV300の実力

V300は、以下のような多様な加工事例でその性能を発揮しています:

  • 医療用マスク金型:キャビティ・コアともに均一な加工面を実現。
  • VRゴーグル金型:加工スジのない安定した面品位。
  • アルミ部品加工:すべての加工精度が3μm以内。
  • カルデラ形状加工:軸反転動作時のスジを改善し、滑らかな仕上がりを実現。

仕様詳細

以下はV300の主要仕様です:

項目内容
軸移動量X: 650 mm / Y: 450 mm / Z: 350 mm
テーブルサイズ800 × 450 mm
最大ワーク寸法800 × 635 × 250 mm
最大積載質量300 kg
主軸回転速度200 ~ 20,000 min⁻¹
主軸端HSK-A63
早送り速度(XYZ)20,000 mm/min
切削送り速度(XY)1 ~ 20,000 mm/min
切削送り速度(Z)1 ~ 15,000 mm/min
工具収納本数標準:20本(オプション:40 / 60本)
最大工具径Φ63 mm(制限あり:Φ80 mm)
最大工具長250 mm
最大工具質量7 kg
機械寸法(W×D×H)2,420 × 3,055 × 2,420 mm
機械質量約8,200 kg

この仕様からも、V300が高精度加工と高い汎用性を兼ね備えたマシニングセンタであることが分かります。

導入によるメリット

V300の導入により、以下のようなメリットが期待できます:

  • 加工品質の安定化:環境温度や稼働時間に左右されない高精度加工。
  • 生産性の向上:GI制御による非切削時間の短縮とトラブル防止。
  • 省エネルギー化:冷却機構と最適制御による効率的な運用。
  • 自動化対応:高精度・高面品位加工による工程集約と省人化。

まとめ

牧野フライス製作所のV300は、金型加工の未来を見据えた次世代マシニングセンタです。高精度・高面品位・安定性・環境対応・自動化といった要素を高次元で融合し、ものづくり現場に新たな価値を提供します。

もし貴社が高精度加工や自動化対応を検討されているなら、V300は非常に有力な選択肢となるでしょう。導入に関するご相談や技術支援についても、当社は牧野フライス製作所との強固な関係性を活かし、最適なご提案をさせていただきます。


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