朝と昼で加工寸法が変わるのはなぜ?工作機械の熱変位と対策を考える

アラカルト

朝一番では寸法が出ていたのに、加工を続けていると昼には補正が必要になる。

このような場合、工具だけでなく「熱」の影響を確認する必要があります。

工作機械は、工場内の温度変化、主軸や周辺機器から発生する熱、
加工そのものから発生する熱などの影響を受けます。

寸法補正を繰り返しているのであれば、
「なぜ寸法が動くのか」を一度整理してみることが重要です。

■ なぜ朝と昼で寸法が変わるのか?

工作機械も温度変化の影響を受けます。

オークマも加工精度へ影響する熱として、

・機械周囲の温度変化
・機械から発生する熱
・加工で発生する熱

を挙げています。

工場内の室温は一日を通して一定とは限りません。

朝に機械を立ち上げた直後と、
数時間加工を続けた後でも機械の状態は変化します。

主軸の回転、送り軸、周辺機器、切削液など、
加工中にはさまざまな場所から熱の影響を受けます。

その結果として工作機械に熱変位が発生し、
加工寸法へ影響する可能性があります。

■ まず記録してみる

寸法変化が発生しているなら、
感覚だけで判断せず記録してみると原因を探しやすくなります。

例えば、

・加工した時間
・工場内温度
・加工開始からの経過時間
・主軸回転数
・加工しているワーク
・寸法測定結果
・補正した量
・機械停止時間

などです。

「毎日ほぼ同じ時間帯に寸法が動く」
「長時間停止した後に変化する」
「特定の加工をすると変化する」

といった傾向が見えてくれば、
対策を考えるための手掛かりになります。

■ 暖機運転や空調だけが対策ではない

熱対策というと、

「朝に暖機運転する」
「工場を恒温化する」

という方法を思い浮かべるかもしれません。

もちろん加工内容によっては環境管理が重要です。

一方で、工作機械そのものに熱変位への対策技術を持たせる
という考え方もあります。

その代表例の一つが、
オークマの「サーモフレンドリーコンセプト」です。

■ オークマのサーモフレンドリーコンセプト

オークマでは、熱を完全に抑え込むのではなく、
「温度変化を受け入れる」という考え方で
熱変位を制御するサーモフレンドリーコンセプトを展開しています。

具体的には、

熱変形を単純化する機械構造
温度分布を均一化する設計
OSPによる熱変位制御

などを組み合わせています。

主軸の熱変位に対応するTAS-S、
環境温度変化による機械構造の熱変位に対応するTAS-Cなどがあり、
温度情報だけでなく機械の状態などを利用して熱変位を制御します。

オークマによれば、この技術は2001年の発表以降開発が続けられ、
2024年時点で搭載機の出荷累計70,000台に達しています。

■ 設備更新時には「熱」も比較項目にする

工作機械を比較するときは、

主軸回転数
移動量
早送り速度
工具本数
価格

などに目が行きがちです。

しかし高精度加工や長時間加工を行う現場では、
「温度が変化したときに加工寸法がどうなるのか」も
重要な比較項目になります。

特に、

・朝と昼で補正している
・季節によって加工条件や補正を変えている
・暖機運転に時間を使っている
・長時間連続加工したい
・夜間無人運転を検討している

という現場では、設備更新時に確認しておきたいポイントです。

■ 「補正するのが普通」になっていませんか?

熟練者が毎日寸法を確認し、
機械の癖を見ながら補正している現場もあります。

それ自体が間違いというわけではありません。

ただし、その作業が長年続いているのであれば、
次回の設備更新では「補正作業を前提としない設備」を
比較してみる価値があります。

機械の熱特性、工場環境、加工精度、ワーク、
連続加工時間などを整理することで、
設備側で改善できる部分が見つかる可能性があります。

釜屋ではオークマをはじめ、
加工内容や要求精度から工作機械の選定をご相談いただけます。

「朝と昼で寸法が変わる」
「補正作業を減らしたい」
「長時間安定して加工したい」

という段階からでもご相談ください。

工作機械の選定・導入・更新については、
釜屋オンラインの「工作機械」ページでも情報をまとめています。

工作機械について詳しく見る
https://kamaya-online.jp/machine-tools/


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