
橋梁・厚板鉄骨向け最新溶接技術のご紹介|多電極SAWライン&ロボットタンデムGMAWセル
橋梁や厚板鉄骨の製造現場では、高品質かつ高効率な溶接技術が求められます。今回は、そんなニーズに応える2つの注目技術をご紹介します。
多電極SAWラインとは?
**SAW(Submerged Arc Welding/サブマージアーク溶接)**は、粒状のフラックス(溶接剤)でアークを覆いながら行う溶接法で、厚板の高効率溶接に最適です。
特徴と利点
- 深い溶け込み:板厚90mmでも1パス施工が可能
- 高能率・高品質:複数の電極を並列配置することで、溶接速度と品質を両立
- 自動化対応:トーチ移動・ワイヤ供給・フラックス散布が自動化されており、ライン化に最適
- 安全性:アークがフラックスに覆われているため、光害やヒュームが少ない
適用分野
- 橋梁の大型部材接合
- 建築鉄骨のボックス柱角継手
- 圧力容器や造船などの厚板構造物
技術的な進化
JFEエンジニアリングでは、溶込み深さを制御するシステムを開発し、熟練者の勘に頼らずとも安定した品質を実現しています。
ロボットタンデムGMAWセルとは?
**GMAW(Gas Metal Arc Welding/ガスメタルアーク溶接)**は、金属ワイヤを電極として用いる溶接法で、ロボットによる自動化が進んでいます。中でも「タンデムGMAWセル」は、2本のワイヤを同時に使うことで、溶接速度と品質を大幅に向上させる技術です。
特徴と利点
- 低入熱・低ひずみ:フィラワイヤの温度制御により、母材への影響を最小限に
- 高品質なビード形成:アンダーカット(溶接欠陥)を抑制し、安定した仕上がり
- 低スパッタ:短絡のない溶接で、作業環境の改善にも貢献
- 自動化・省人化:CAD連携による自動プログラミングや無監視連続運転が可能
適用分野
- 橋梁パネルの連続溶接
- 鉄骨柱の全周溶接
- タンク・トンネルセグメントなどの厚板構造物
実績と導入事例
神戸製鋼や鹿島建設では、ツインロボットによる高能率溶接や、開先形状の自動計測・スラグ除去機能を搭載したロボットを導入し、熟練技能者と同等以上の品質を実現しています。
まとめ|未来の溶接は「高効率×高品質×自動化」
多電極SAWラインとロボットタンデムGMAWセルは、厚板構造物の製造現場に革命をもたらす技術です。熟練者の技術を補完し、品質の安定化と生産性向上を両立するこれらの技術は、今後ますます重要性を増していくでしょう。
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