ファナックのロボドリルが進化!サイクルタイム6割・消費電力6割削減

製品紹介

「黄色い彗星」とも呼ばれる鮮やかなボディ。日本の、そして世界の工場でこの色を見かけない日はありません。

製造業のあり方が劇的に変わろうとしている今、その中心にいるのは常に進化を止めない巨人――ファナック株式会社です。

特に同社の代名詞とも言える小型切削加工機「ROBODRILL(ロボドリル)」シリーズは、今まさに「次元の異なる進化」を遂げています。今回は人気コラムニストとして、ロボドリルがどのように変貌し、製造現場の未来を塗り替えようとしているのか、その核心に迫ります。


1. 1985年からの長い旅:深化し続けるロボドリルの系譜

ロボドリルの歴史を紐解くと、そこには「徹底した効率への執念」が見て取れます。

1985年に登場した「TAPE DRILL Mate」から始まり、2001年の「α-T14iC」、2012年の「α-DiA」シリーズ、そして現在の最新鋭機「α-DiB Plus」へと、そのタスキは繋がれてきました。

驚くべきは、その進化の「歩幅」です。ファナックが公開したデータによれば、1985年の旧機種を100%とした場合、最新モデルのサイクルタイムは**40.0%**まで短縮されています。つまり、かつて100秒かかっていた加工が、今やわずか40秒で終わるということ。この圧倒的なスピードアップは、単純な「速さ」の追求ではなく、CNC(数値制御装置)とサーボ技術を自社で垂直統合しているファナックだからこそ到達できた領域なのです。

2. 「速さ」の先にある価値:異次元のサイクルタイム短縮

最新の「α-DiB Plus」シリーズを語る上で欠かせないのが、高速化へのアプローチです。

  • 加速の極致: 早送り速度60m/min、最大加速度2.2Gというスペックは、もはや小型加工機の枠を超えています。
  • 知能化された制御: 「Fast Cycle Time Technology」により、動作の経路を最適化し、停止時間を最小限に抑制。これにより、穴あけやタップ加工といった基本動作の積み重ねが、劇的な時間短縮を生み出します。

しかし、現代の製造業が求めているのは「速さ」だけではありません。今、最も熱い視線が注がれているのは、その驚異的な**「省エネルギー性能」**です。

3. グリーン・マニュファクチャリングの旗手:消費電力6割削減の衝撃

「製造業はエネルギーを食う」――そんな常識を、ロボドリルは根底から覆しました。

データによれば、1985年モデルと比較して、最新のロボドリルは1サイクルあたりの消費電力量を**38.2%(削減率61.8%)**まで抑え込むことに成功しています。この「省エネで未来を創り出す」姿勢こそが、今のファナックを象徴しています。

なぜ、これほどの削減が可能なのか。そこには、目に見えない緻密な技術の積み重ねがあります。

独自の「電源回生」技術

ファナックは1994年という早い段階から、モータ減速時のエネルギーを電力として再利用する「電源回生方式」を標準採用しています。これはハイブリッド車の回生ブレーキと同じ原理。これにより、従来の抵抗回生方式と比較して約35%もの電力削減を実現しています。

徹底した「無駄」の排除

最新モデルには、現場の「痒い所に手が届く」省エネ機能がこれでもかと詰め込まれています。

  • スリープ機能: 休憩時間などにサーボモータの励磁をOFFにし、待機電力を最小化します。
  • ミストコレクタ制御: 周辺機器の中でも特に電力を消費するミストコレクタを、加工中だけ動かすように自動制御。これだけで約9.1%の電力削減に寄与します。
  • 見える化の魔法: 「消費電力モニタ」画面では、どの部位がどれだけ電力を使っているかを色分けして表示。CO2排出量も一目でわかるため、現場の意識改革を促します。

4. 「壊れない」から「止まらない」へ:信頼性の再定義

「ファナックの機械は壊れない」という神話は、最新世代でさらに強化されました。

「壊れない、壊れる前に知らせる、壊れてもすぐ直せる」をコンセプトに、予防保全機能が拡充されています。例えば、切粉(キリコ)の排出性を高めるためのカバー改良など、一見地味に見える部分のブラッシュアップが、長期間の安定稼働を支えているのです。

さらに、最新の「ROBODRILL-LINK+」などのネットワークツールを使えば、工場全体の稼働状態をPCやタブレットからリアルタイムに監視可能。トラブルの兆候を事前に察知し、ダウンタイムをゼロに近づける――そんな未来が、すでに現実のものとなっています。

5. 結び:ロボドリルが導く「持続可能なものづくり」

ファナックのロボドリルは、単なる「よく削れる機械」であることを辞めました。

それは、限られたエネルギーで最大限の成果を出し、環境負荷を最小限に抑えつつ、世界中のインフラを支え続ける「サステナブルな生産基盤」へと進化したのです。

サイクルタイムを削り、消費電力を削り、CO2を削る。その一方で、生産性と信頼性は極限まで高めていく。この一見矛盾する課題を同時に解決してみせる姿こそ、トップランナーであるファナックの矜持に他なりません。

もし、あなたの工場の片隅で、数十年前の「黄色い機械」が今も元気に動いているなら。それは素晴らしいことですが、一度最新のロボドリルがもたらす「変化」を想像してみてください。その進化は、きっとあなたの想像を遥かに超えるはずです。


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