【自動化のはじめ方①】何から自動化すべきか|工程の選び方と優先順位
この記事は、人手不足を背景に「そろそろ自動化を」と考え始めた製造業の経営者・工場長の方向けです。
自動化の相談をいただくとき、最初に出てくるのはたいてい「一番きつい工程を何とかしたい」という話です。気持ちはよく分かります。しかし、そこから始めた自動化は、かなりの確率でうまくいきません。この記事では、最初の一手をどこに打つべきかを整理します。
「一番つらい工程」から始めると、なぜ失敗するのか
つらい工程には、つらい理由があります。ワークの形が毎回違う、熟練の勘が要る、力加減が難しい、イレギュラーが多い。つまり人の判断が最も濃く入っている工程だから、つらいのです。
そして人の判断が濃い工程は、自動化の難易度が最も高い場所でもあります。ここに最初の1台を投じると、調整に時間がかかり、思ったように動かず、「やっぱり自動化は無理だ」という結論だけが現場に残ります。
一度そうなると、次の投資が数年遅れます。失うのは設備費よりも、現場が自動化に対して持つ期待のほうです。
優先順位を決める4つのものさし
どの工程から手を付けるかは、次の4点で測ると迷いません。
1. 量が多いか
同じものを何度も作る工程ほど、投資が早く回収できます。月に数個の工程を自動化しても、償却できません。
2. 繰り返しの動きか
毎回同じ動きで済むかどうか。ワークの形状や置き方が毎回変わる工程は、後回しにします。
3. 判断が少ないか
「見て決める」「触って決める」が少ないほど自動化しやすい。判断が要る工程は、まずセンサーや測定で「判断を数値にできるか」を先に検討します。
4. 人がやりたがらないか
重量物、高温、粉じん、単調な繰り返し。ここは自動化すると現場の納得が得られやすく、採用にも効きます。1〜3を満たしたうえでこれに当てはまるなら、最優先です。
工程別に見た、自動化のしやすさ
| 工程 | しやすさ | 主な手段 |
|---|---|---|
| 搬送・運搬 | とてもしやすい | AGV・AMR・AGF、コンベヤ、ホイスト |
| 着脱(ワークの出し入れ) | しやすい | ローダー、ロボット、パレットチェンジャー |
| 段取り替え | しやすい | ツールプリセッタ、自動工具交換、治具の標準化 |
| 検査・測定 | 条件による | 画像検査、インライン測定、三次元測定機 |
| バリ取り・仕上げ | やや難しい | ロボット+力制御、専用機 |
| 組立 | 難しい | 専用機、協働ロボット |
| 異常時の対応 | とても難しい | まず自動化しない |
この表を見ていただくと分かるとおり、入口はほぼ「運ぶ」と「載せ替える」に集約されます。派手さはありませんが、ここが最も確実です。
最初の1台をどこに置くか
現実的な進め方は、次の順番です。
- 第一段階:運ぶを自動化する。工程間の運搬をAGVやAMRに任せる。既存の設備を一切変えずに始められるのが最大の利点です
- 第二段階:載せ替えを自動化する。工作機械へのワーク着脱をローダーやロボットに任せる。ここで機械の稼働時間が伸びます
- 第三段階:段取りを短くする。ツールプリセッタや治具の標準化で、止まっている時間そのものを削る
- 第四段階:無人運転に近づける。ここまで来て初めて、夜間の連続運転が視野に入ります
いきなり第四段階を目指すと、たいてい第一段階でつまずきます。
見落とされがちな「自動化の前提条件」
設備を選ぶ前に、現場側で確認しておくことがあります。ここを飛ばすと、入れてから手戻りが出ます。
- 床:搬送機を走らせるなら、段差・傾斜・排水溝の有無。塗床の状態
- 通路幅:人とすれ違えるか。曲がり角の回転半径
- 電源:容量に余裕があるか。動力の引き回しはできるか
- 安全:柵が要るのか、要らないのか。人との共存をどう設計するか
- ネットワーク:無線を使うなら電波が届くか。工場内は意外と切れます
- ワークの形:つかめる形か。置き方が毎回同じにできるか
釜屋はこう考えます
自動化は、機械を1台入れて完成するものではありません。運ぶ、載せる、削る、測る、片づける——この流れ全部が繋がって初めて効果が出ます。
釜屋がマシニングセンタやNC旋盤といった工作機械だけでなく、ホイストやAGV・AMR、測定機、集塵設備、専用機まで扱っているのは、この流れ全体を一つの絵として描くためです。機械だけ、搬送だけを別々の会社から買うと、繋ぎ目のところで必ず問題が出ます。
「どの工程から手を付けるべきか分からない」という段階でご相談いただくのが、いちばん無駄がありません。現場を拝見して、量と繰り返し性から優先順位を一緒に整理します。
まとめ
- 一番つらい工程は、一番自動化が難しい工程でもある
- 量が多く、繰り返しで、判断が少ない工程から始める
- 入口は「運ぶ」と「載せ替える」。ここが最も確実
- 床・通路幅・電源・安全・ネットワーク・ワーク形状は、設備を選ぶ前に確認する
三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺っています。まだ何も決まっていない段階で構いません。図面や工程表がなくても、現場を見せていただければ考えられます。お気軽にご相談ください。
自動化のはじめ方(連載中)
- 第1回 何から自動化すべきか|工程の選び方と優先順位
- 第2回 ロボットの種類と使い分け|産業用・協働・スカラ・パラレル
- 第3回 AGV・AMR・AGFはどう違う?搬送自動化の選び方
釜屋オンライン


