【自動化のはじめ方②】ロボットの種類と使い分け|産業用・協働・スカラ・パラレル
この記事は、工場へのロボット導入を検討していて、どの種類を選べばいいか迷っている方向けです。
ひとくちに産業用ロボットと言っても、形も考え方もまるで違うものが並んでいます。「どれが優れているか」ではなく「どれが自分の工程に合うか」で決まる世界です。ここでは代表的な5種類の性格と、選ぶときに見るべき点を整理します。
まず5種類の性格を押さえる
| 種類 | 得意なこと | よく使われる工程 |
|---|---|---|
| 垂直多関節(産業用) | 自由な姿勢で速く動く。可搬重量の幅が広い | 溶接、塗装、ワーク着脱、パレタイジング |
| 協働ロボット | 人のそばで動ける。設置と教示がやさしい | 組立補助、検査、少量多品種の着脱 |
| スカラ | 水平方向に速い。上から下への動作が得意 | 小物の組立、基板実装、ピッキング |
| パラレルリンク | とにかく速い。軽いものを高速で扱う | 食品・医薬の高速仕分け |
| 直交(ガントリー) | 広い範囲を単純な動きで。剛性が高い | 大物搬送、機械へのローディング |
用途が違うだけで、上下はありません。組立の現場に高速仕分け用を持ち込んでも力を発揮しませんし、逆もまた同じです。
選ぶときに見る4つの数字
1. 可搬重量
持ち上げたいワークの重さだけを見て決めると、ほぼ失敗します。実際に必要なのは、ワーク重量+ハンド(つかむ機構)の重量です。ハンドは意外と重く、数キロになることも珍しくありません。
さらに、腕を伸ばしきった姿勢では定格いっぱいまで持てない機種もあります。余裕を持った選定が必要です。
2. リーチ(動作範囲)
カタログの数値は「腕の届く最大距離」です。実際には、機械の扉の中に入れる、パレットの奥まで届く、といった条件が絡みます。図面上で届いても、途中に干渉物があれば意味がありません。
3. 速度とサイクルタイム
最高速度より、1サイクルに何秒かかるかが重要です。加速・減速、位置決めの待ち時間を含めた実速度で考えます。
4. 繰り返し位置決め精度
同じ場所に何度も戻れるか、という数字です。「精度」と書かれていますが、絶対的な位置の正確さとは別物である点に注意してください。
協働ロボットは万能ではない
ここ数年、最も相談が増えているのが協働ロボットです。安全柵が不要な場合があり、設置の自由度が高く、教示も直感的にできる。少量多品種の現場との相性は確かに良いです。
ただし、次の点は正しく理解しておく必要があります。
- 速度は産業用より遅い。人のそばで安全に止まれることが前提なので、構造上そうなります。量産のサイクルタイムを詰めたい工程には向きません
- 可搬重量は小さめ。重いワークを扱う工程では選択肢から外れます
- 「柵が不要」は無条件ではない。リスクアセスメントの結果によっては、柵や安全機器が必要になります。ハンドやワークが鋭利なら、なおさらです
逆に言えば、速度をそこまで求めず、人と作業を分け合う工程であれば、これほど導入しやすいものはありません。
導入前に必ず確認すること
- ワークをつかめるか。ロボット本体よりハンドの設計のほうが難しいことが多い。形状・重心・表面の状態を見ます
- ワークの供給方法。毎回同じ位置・同じ向きで供給できるか。バラ積みからの取り出しは難易度が跳ね上がります
- 設置スペースと床の強度。動作範囲だけでなく、教示や保守のために人が入る空間も要ります
- 安全対策の範囲。柵、ライトカーテン、エリアセンサ。リスクアセスメントは導入前に行います
- 誰が教示するのか。社内で扱える人を育てるのか、都度依頼するのか。ここを決めずに入れると、動かなくなった時に止まります
- 止まったときにどうするか。復帰の手順が現場で完結するかどうかが、稼働率を大きく左右します
釜屋はこう考えます
ロボットは、単体で価値を生む設備ではありません。何かを「つなぐ」ための道具です。工作機械にワークを載せる、工程から工程へ渡す、検査へ流す。つなぐ先が整理されていないと、ロボットだけ入れても動きません。
ですから当社では、ロボットの話をいただいたときも、まず前後の工程を見せていただくようにしています。マシニングセンタやNC旋盤といった工作機械、AGV・AMRなどの搬送、測定機、そしてロボット——これらを別々ではなく一つの流れとして扱えるのが、商社である当社の役目だと考えています。
結果として「ロボットではなく専用機のほうが安く早い」という結論になることもあります。それも含めてご提案します。
まとめ
- ロボットに優劣はなく、工程との相性で決まる
- 可搬重量はワーク+ハンドで考える。カタログ値をそのまま当てにしない
- 協働ロボットは万能ではない。速度と可搬重量に制約がある
- 本体よりハンドと供給方法のほうが難しい
- 止まったときに現場で復帰できるかが、稼働率を決める
「うちの工程にロボットが入るのか」という段階からご相談いただけます。三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺います。お気軽にお声がけください。
自動化のはじめ方(連載中)
- 第1回 何から自動化すべきか|工程の選び方と優先順位
- 第2回 ロボットの種類と使い分け|産業用・協働・スカラ・パラレル
- 第3回 AGV・AMR・AGFはどう違う?搬送自動化の選び方
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