【アルミ攻略①】アルミの種類と選び方|A5052・A6063・A7075・ADC12の違い
この記事は、アルミ部品の設計・調達・加工に関わる方向けです。
アルミというひとくくりの呼び方の中に、性格の違う合金がいくつも並んでいます。「軽い金属」という理解だけで選ぶと、強度や加工性で思わぬつまずきが起きます。代表的な4系統の違いと、選ぶときの考え方を整理します。
まず4つの代表格を押さえる
| 合金 | 系統 | 性格 | よく使われる用途 |
|---|---|---|---|
| A5052 | Al-Mg系 | 耐食性が高く、溶接もしやすい | 板金、燃料タンク、船舶部品 |
| A6063 | Al-Mg-Si系 | 押出性に優れ、表面が美しい | サッシ、フレーム、装飾部材 |
| A7075 | Al-Zn-Mg系 | アルミの中で最も強度が高い | 航空部品、金型、高強度が要る構造材 |
| ADC12 | ダイカスト用 | 鋳造性がよく、複雑形状を作れる | 自動車部品、筐体、量産品 |
強度が欲しいから7075、というほど単純ではありません。強度が上がるほど溶接性や耐食性が落ちる傾向があり、どれか一つの数字だけを見て選ぶと、他の要件で失敗します。
系統で見る、得意・不得意
Al-Mg系(5000番台)
耐食性と溶接性のバランスがよく、屋外や水回りの部品に向きます。強度はそこまで高くありませんが、成形性がよいため板金加工との相性がよい系統です。
Al-Mg-Si系(6000番台)
熱処理で強度を上げられる系統で、押出形材(サッシやフレーム)の主力です。表面が美しく仕上がるため、見える部分に使われることが多いのも特徴です。
Al-Zn-Mg系(7000番台)
アルミの中では別格の強度を持ちますが、耐食性はやや劣り、溶接性も良いとは言えません。「強いから7075」で選ぶと、屋外で使う部品では腐食に悩まされることがあります。
ダイカスト用合金(ADC12など)
溶かして型に流し込む鋳造専用の合金で、複雑な形状を一体で作れます。ただし気泡(鋳巣)が内部に残りやすく、機械加工で削り込むと表面に穴が現れることがあります。
選ぶときに確認すべき4つの軸
- 強度:静荷重か、繰り返し荷重(疲労)がかかるか。用途によって見る強度の種類が変わります
- 耐食性:屋外か屋内か、水や薬品に触れるか
- 加工方法:切削か、板金か、押出か、鋳造か。系統によって得意な加工方法が違います
- 後工程:溶接するか、アルマイト処理をするか。系統によって後工程との相性が変わります
この4つのうち、どれか1つだけを優先して選ぶと、別のどこかで無理が出ます。「とりあえず6063」「昔からこれを使っている」という選定は、一度見直す価値があります。
材料選定を、選んだ時点で確かめる
ここまでの話は、いわば設計図の上での判断です。しかし実際に届いた材料が、狙った特性どおりかどうかは、加工してみるまで分かりません。強度不足や合金の取り違えに気づくのが、最終検査の段階になってしまうケースは珍しくありません。
材料証明書だけで安心せず、必要に応じて硬度や成分を早い段階で確認できる体制があると、手戻りの規模がまったく変わってきます。三次元測定機や材料分析の設備を、加工の入口側に置くという考え方です。
まとめ
- 強度・耐食性・加工方法・後工程の4軸で選ぶ。1軸だけで決めない
- 強度の高さと耐食性・溶接性はトレードオフの関係にあることが多い
- ダイカスト材は鋳巣に注意。切削で表面に現れることがある
- 材料選定の確認は、最終検査ではなく入口側で行うと手戻りが小さい
今使っている材料が、本当にその用途に合っているか。一度、図面と一緒に見せていただけませんか。三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺っています。
アルミ攻略ガイド(全7回)
- 第1回 アルミの種類と選び方|A5052・A6063・A7075・ADC12の違い
- 第2回 アルミは削りやすいのに難しい|構成刃先と溶着をどう防ぐか
- 第3回 アルミの薄物加工|反り・変形を抑える段取りと固定
- 第4回 アルミ溶接の難しさ|酸化皮膜と熱の逃げをどう扱うか
- 第5回 アルマイトと表面処理|見た目・耐食性・寸法変化
- 第6回 アルミでコストを下げる|材料置き換えと歩留まりの考え方
- 総まとめ アルミの選び方から表面処理まで|症状別・逆引きガイド
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