金属3Dプリンターの選び方|レーザー粉末床溶融とバインダージェットの違い
この記事は、金属3Dプリンターの導入を検討している設計・生産技術の方向けです。
金属3Dプリンターは「削る」ではなく「積む」ものづくりです。ただし方式によって得意な形状もコストも大きく違い、一括りに語ると選定を誤ります。代表的な2方式の違いと、世界の主要メーカーの傾向を整理します。
まず2つの方式を押さえる
| 方式 | 仕組み | 得意なこと | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| レーザー粉末床溶融(PBF) | 金属粉末をレーザーで一層ずつ溶かして積む | 複雑形状、内部中空構造、高強度 | 航空宇宙部品、金型の水管、試作 |
| バインダージェット | 金属粉末に結合剤を吹き付けて成形し、後から焼結する | 速い造形、比較的低コスト | 量産に近い中ロット部品 |
PBFは精度と自由度で優れますが装置も運用コストも高め、バインダージェットは造形は速いものの焼結収縮の管理が要る。「どちらが優れているか」ではなく「何を作りたいか」で選ぶ設備です。
導入前に確認すべきこと
- 形状の複雑さ:切削では作れない内部構造が必要か。必要でなければ、そもそも金属3Dプリンターでなくてよいことも多い
- ロット数:単品・試作向けか、ある程度の数を作るのか。方式選定に直結する
- 後工程:焼結、熱処理、仕上げ加工が必要になる。積んで終わりではない
- 材料対応:使いたい金属粉末に対応した機種か。汎用性は方式・メーカーで差がある
世界の主要メーカーの傾向
金属3Dプリンター市場は、ドイツ・アメリカのメーカーが技術をリードしてきた歴史があり、近年は造形速度とコストダウンを両立させる機種が各社から出てきています。PBF方式は精密機器・航空宇宙分野に強い欧米メーカーが多く、バインダージェット方式はより量産寄りの用途を狙う新興メーカーが目立ちます。国内メーカーも工作機械の技術を生かした複合機(切削と積層を1台で行うハイブリッド機)で独自の存在感を持っています。
複合機という選択肢
近年増えているのが、積層と切削を1台でこなすハイブリッド機です。積んだあとすぐに削って仕上げられるため、精度を確保しながら複雑形状を作れます。金属3Dプリンター単体の導入か、既存の工作機械との組み合わせで足りるかは、検討の初期段階で整理しておくべき点です。
まとめ
- PBFは複雑形状・高強度向き、バインダージェットは速さとコスト向き
- 形状の複雑さとロット数で、方式もメーカーも変わる
- 積んで終わりではなく、焼結・熱処理・仕上げまで含めて検討する
- 切削との複合機という選択肢もある
「これは3Dプリンターでしか作れない形なのか、実は既存の機械でも作れるのか」——ここの見極めからご相談いただくのが、いちばん無駄がありません。三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺います。
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