【アルミ攻略⑤】アルマイトと表面処理|見た目・耐食性・寸法変化

未来への知恵ブログ

この記事は、アルミ部品にアルマイトや表面処理を検討している設計・調達の方向けです。

アルマイトは「アルミの表面を硬く錆びにくくする処理」として知られていますが、寸法に影響を与える処理だという点は見落とされがちです。見た目・耐食性・寸法変化の3つの視点で整理します。

アルマイトとは何をしている処理か

アルマイト(陽極酸化処理)は、アルミの表面に人工的に酸化皮膜を作る処理です。この皮膜が、素材そのものより硬く、腐食にも強い層として働きます。染色すれば色もつけられるため、機能面と意匠面の両方で使われます。

種類による違い

種類特徴向いている用途
普通アルマイト膜厚が薄く、色のバリエーションが豊富外観重視の部品、屋内使用
硬質アルマイト膜厚が厚く、硬度・耐摩耗性が高い摺動部品、工具、屋外の構造材

硬質アルマイトは膜厚が厚くなる分、寸法への影響も大きくなります。ここが選定で見落とされやすいポイントです。

寸法変化という見落とされがちな論点

アルマイトの膜は、素材の表面を「外側に盛る」だけでなく、素材そのものを内側にも消費しながら成長します。そのため、処理前後で寸法がわずかに変わります。普通アルマイトで数ミクロン、硬質アルマイトになると数十ミクロン単位の変化が出ることもあります。

公差の厳しい部品では、「処理前の寸法で図面を描いて、処理後に検査したら公差から外れていた」という失敗が起こりえます。あらかじめ処理による変化分を見込んで、素材寸法側で調整しておく必要があります。

処理前に確認しておきたいこと

  • 公差の厳しい面はどこか:はめあい部・摺動部は特に注意する
  • 膜厚の狙い値:普通か硬質かで、見込む寸法変化が変わる
  • マスキングの範囲:処理したくない面(電気接点、ねじ穴など)を明確にする
  • 下地の状態:鋳造品は巣穴があると、そこにアルマイト液が入り込み色ムラの原因になる

検査のタイミングを前に持ってくる

処理後の検査で不良に気づくと、やり直しには再処理と再加工の両方の手間がかかります。膜厚計や測定機を使って、処理前後の両方で寸法を確認する体制があれば、この手戻りは大きく減らせます。

自社でアルマイトの前処理(脱脂・洗浄)まで行っている場合は、洗浄設備の管理状態も仕上がりに直結します。液の管理が甘いと、同じ条件で処理しても膜厚や発色にばらつきが出ます。

まとめ

  • 普通アルマイトと硬質アルマイトは、膜厚も用途も別物と考える
  • アルマイトは寸法を変える処理である。公差の厳しい面は特に注意する
  • マスキング範囲と下地の状態は、処理前に必ず確認する
  • 処理後の検査で気づくのではなく、処理前後で寸法を追える体制が手戻りを防ぐ

今の図面が、アルマイトによる寸法変化を見込んだものになっているか。一度、図面と一緒に確認させていただけませんか。三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺います。

アルミ攻略ガイド(全7回)

  • 第1回 アルミの種類と選び方|A5052・A6063・A7075・ADC12の違い
  • 第2回 アルミは削りやすいのに難しい|構成刃先と溶着をどう防ぐか
  • 第3回 アルミの薄物加工|反り・変形を抑える段取りと固定
  • 第4回 アルミ溶接の難しさ|酸化皮膜と熱の逃げをどう扱うか
  • 第5回 アルマイトと表面処理|見た目・耐食性・寸法変化
  • 第6回 アルミでコストを下げる|材料置き換えと歩留まりの考え方
  • 総まとめ アルミの選び方から表面処理まで|症状別・逆引きガイド

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