【アルミ攻略⑥】アルミでコストを下げる|材料置き換えと歩留まりの考え方
この記事は、アルミ部品のコストダウンを検討している経営者・調達担当の方向けです。
アルミのコストを下げようとすると、多くの場合「材料の単価」に目が向きます。しかし現場の数字を見ていくと、歩留まりを左右しているのは材料選びより、削りすぎない加工にあることが多いのが実情です。ここまでの連載を振り返りながら整理します。
材料費だけを見ても、コストは下がらない
同じ強度・同じ耐食性の部品を、より安い合金や規格の材料で作れないかを検討するのは有効な一手です。ただし、材料費を1割下げても、加工でロスが増えれば簡単に相殺されます。コストは「材料費 × 歩留まり × 加工時間」の掛け算で決まるという前提に立つ必要があります。
ここまでの連載から見えてきたこと
| 回 | テーマ | 歩留まりへの影響 |
|---|---|---|
| 第1回 | 材料の種類と選定 | 過剰スペックの材料は、不要なコストそのもの |
| 第2回 | 構成刃先と溶着 | 仕上げ不良による手直し・再加工のロス |
| 第3回 | 薄物の反り | 固定不良による不良品の発生 |
| 第4回 | 溶接の難しさ | ブローホールやクラックによる補修・廃棄 |
| 第5回 | アルマイトと寸法変化 | 処理後の公差外れによる手戻り |
並べてみると分かるとおり、ここまでの5回で扱ってきたトラブルは、すべて「歩留まりを下げる要因」そのものでした。材料選定を見直すだけでは、これらは解決しません。
置き換えで下げられるコスト
それでも材料の置き換えが効く場面はあります。
- 過剰スペック:例えば強度を求めていない見た目重視の部品にA7075を使っている場合、6000番台への置き換えでコストと加工性の両方が改善することがあります
- 規格の統一:使用する合金の種類を減らし、発注ロットをまとめることで単価と在庫の両方を圧縮できます
- ダイカストへの置き換え:量産品で複雑形状を切削で作っているなら、ダイカストへの切り替えで加工工数そのものを減らせる場合があります
削りすぎない、が最大の歩留まり対策
材料の置き換えよりも効果が大きいことが多いのが、加工そのものの精度を上げて、削りしろ・段取り時間・不良率を減らすことです。第2回・第3回で扱った構成刃先や反りへの対策は、まさにここに直結しています。
荒加工での削りすぎを防ぐ工程管理、段取り替えの標準化、検査を早いタイミングに前倒しする体制。これらが組み合わさって初めて、材料選定の工夫が本当の意味で活きてきます。
まとめ:材料の知識は、設備と組み合わさって効く
この連載を通して見てきたように、材料の知識だけでは歩留まりは変わりません。測定、段取り、溶接、仕上げ、それぞれの工程に合った設備があって初めて、材料選びの工夫が結果に結びつきます。
- コストは材料費だけでなく、歩留まりと加工時間の掛け算で決まる
- 過剰スペックの材料、バラバラな規格は置き換えの余地がある
- 最大の歩留まり対策は、材料選定より加工精度の見直しにあることが多い
- 知識と設備、両方が揃って初めてコストは下がる
今使っている材料と設備の組み合わせが、本当に最適かどうか。一度、現場を見せていただけませんか。三重県を中心に、中部エリアの現場へ伺います。
アルミ攻略ガイド(全7回)
- 第1回 アルミの種類と選び方|A5052・A6063・A7075・ADC12の違い
- 第2回 アルミは削りやすいのに難しい|構成刃先と溶着をどう防ぐか
- 第3回 アルミの薄物加工|反り・変形を抑える段取りと固定
- 第4回 アルミ溶接の難しさ|酸化皮膜と熱の逃げをどう扱うか
- 第5回 アルマイトと表面処理|見た目・耐食性・寸法変化
- 第6回 アルミでコストを下げる|材料置き換えと歩留まりの考え方
- 総まとめ アルミの選び方から表面処理まで|症状別・逆引きガイド
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