工作機械のワーク着脱を自動化したい|最初に確認するポイント
工作機械へのワーク着脱を自動化したい。
NC旋盤やマシニングセンタへ人がワークを入れ、
加工が終わったら取り出す。
この作業をロボットへ任せたいという相談は、
工作機械自動化の代表的なテーマです。
結論から言えば、
最初にロボットのメーカーや可搬重量を決める必要はありません。
先に確認するのは、
ワーク
チャック・治具
加工時間
素材供給
完成品排出
品種数
です。
「ロボットを何にするか」より、
「現在、人が何をしているか」を整理することから始めます。
■ 最初に1サイクルを分解する
まず現在の作業を1サイクルごとに書き出します。
例えばNC旋盤なら、
素材を取る
↓
機械の扉を開ける
↓
完成品を取り出す
↓
チャック周辺を確認する
↓
新しいワークを取り付ける
↓
扉を閉める
↓
加工スタート
↓
完成品を置く
という流れです。
実際には、
エアブロー
ワーク反転
寸法測定
切りくず除去
チャック清掃
などを行っていることもあります。
ロボット化を考えるときは、
「ワークを入れる・出す」だけでなく、
その間に人が行っている作業をすべて確認することが重要です。
■ ワーク重量だけでロボットを選ばない
例えばワーク重量が5kgだから、
可搬重量5kg以上のロボットなら使える。
という単純な判断はできません。
ロボットが持つものは、
ワーク
+
ロボットハンド
+
必要に応じたセンサ
だからです。
さらに、
ワークの重心
ハンドの長さ
把持位置
ロボットの姿勢
によっても必要能力は変わります。
そのため最初に、
・ワーク重量
・ワーク寸法
・形状
・材質
・把持できる場所
・完成品と素材の形状差
を確認します。
■ ワークをどう掴むか
ロボットによるワーク着脱では、
ロボット本体以上に「ハンド」が重要です。
丸物なのか、
角物なのか、
鋳物なのか、
薄い部品なのか。
それによって、
2爪
3爪
平行グリッパ
吸着
専用ハンド
などを検討します。
またNC旋盤では、
加工済みワークを取り出す
↓
次の素材をすぐ入れる
という動作を短時間で行うため、
素材用と完成品用の両方を持てるハンド構成を検討する場合もあります。
重要なのは、
ロボットが動くことではなく
ワークを安定して持てることです。
■ チャックや治具も自動化の一部
人がワークをセットするときは、
チャック面を見る
切りくずを確認する
ワークを押し当てる
正しく入ったか確認する
といったことを自然に行っています。
ロボット化では、
これらを仕組みに置き換える必要があります。
例えば、
チャック開閉信号
着座確認
エアブロー
治具の位置決め
ワーク有無検知
などです。
ロボット本体だけ購入しても、
チャックや治具との連携ができなければ
安定した自動運転にはなりません。
■ 工作機械との信号連携が必要
ロボットは工作機械が加工中なのに
扉を開けてワークを入れるわけにはいきません。
そのため、
加工終了
扉開
チャック開
ワーク交換
チャック閉
扉閉
加工開始
という一連の状態を、
工作機械とロボットでやり取りする必要があります。
ファナックも機械加工分野で、
工作機械へのワークのロード・アンロードを
ロボットの代表的な用途として紹介しています。
また、工作機械内部への設置や、
レール・門型ガントリを使って複数の加工ステーションを
1台のロボットで担当する構成も紹介しています。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
つまり、
単純なロボット単体ではなく、
工作機械との連携を含めたシステムとして考える必要があります。
■ 素材をどこから取るのか
自動化で意外に重要なのが、
未加工ワークをどこへ置くかです。
例えば、
パレット
コンベヤ
専用ストッカー
トレー
バラ積み
などがあります。
ワークをきれいに整列できるのであれば、
比較的シンプルな供給設備で済む場合があります。
一方で、
素材がバラ積みされている場合は、
カメラや3Dビジョンによる位置認識が必要になることがあります。
ファナックでは、
ビジョンセンサを使ってパレット上のワークを検出し、
位置や姿勢を補正して工作機械へ投入する実例も公開しています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
つまり、
「ロボットで取る」
だけでなく、
「ロボットが取りやすい状態で材料を準備する」
ことも重要です。
■ 完成品をどこへ置くのか
素材供給と同じくらい、
完成品の排出方法も確認します。
例えば、
完成品トレー
コンベヤ
パレット
測定工程
洗浄工程
などです。
加工後に毎回人が完成品を回収するのであれば、
ワーク着脱だけをロボット化しても
完全な無人運転にはなりません。
特に夜間運転まで考えるなら、
何個分の素材を置けるか
完成品を何個保管できるか
まで考える必要があります。
■ 加工時間とロボットタクトを比較する
自動化では、
加工時間とロボット動作時間の関係も重要です。
例えば、
加工時間10分
ワーク交換30秒
であれば、
ロボットには比較的余裕があります。
一方、
加工時間30秒
ワーク交換20秒
なら、
ロボットの動作速度が生産能力へ大きく影響します。
この違いによって、
産業用ロボット
協働ロボット
専用ローダ
ガントリローダ
などの選択も変わります。
「どのロボットが良いか」ではなく、
必要なサイクルタイムから考えます。
■ 産業用ロボットか協働ロボットか
工作機械へのワーク着脱では、
どちらも候補になります。
例えば、
高速で大量に処理したい
重量物を扱う
安全柵を設置できる
のであれば、
産業用ロボットが向く場合があります。
一方、
少量多品種
設置スペースが限られている
頻繁に品種変更する
作業者との共存を考えたい
という場合は、
協働ロボットを検討する価値があります。
実際にファナックも、
機械加工用途で産業用ロボットだけでなく
協働ロボットCRXによるNC旋盤へのロード・アンロード事例を紹介しています。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
ただし、
協働ロボットだから必ず安全柵が不要というわけではありません。
工作機械、ワーク、ハンドを含め、
設備全体としてリスクを評価する必要があります。
■ 1台のロボットで複数台を担当できる場合もある
加工時間が長い場合、
1台のロボットが1台の工作機械だけを担当すると
ロボットが長時間待機することがあります。
その場合は、
旋盤Aへ投入
↓
旋盤Bへ移動
↓
測定工程へ投入
↓
再び旋盤Aへ戻る
といった構成も検討できます。
ファナックも、
ロボットをレールやガントリへ搭載し、
複数の加工ステーションを1台で担当するシステムを
機械加工用途として紹介しています。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}
ただし設備構成が複雑になるため、
各機械の加工時間
ロボット移動時間
停止時の影響
までシミュレーションする必要があります。
■ 測定まで自動化するか
加工したワークを
作業者が毎回測定しているのであれば、
そこも確認します。
例えば、
加工
↓
ロボットで取り出す
↓
測定機へ置く
↓
測定
↓
合格品を排出
という流れです。
ファナックも工作機械へのロード・アンロードだけでなく、
検査などの付随工程まで含めたロボット活用を紹介しています。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}
夜間無人運転まで目指す場合、
測定工程が次のボトルネックになる可能性があります。
■ 最初から完全無人化しなくてもいい
工作機械自動化というと、
24時間無人運転
を目指したくなります。
しかし最初からそこまで必要とは限りません。
例えば、
昼休み1時間だけ
残業時間2時間だけ
夜の4時間だけ
でも、
人が付かずに機械を動かせれば効果があります。
最初は1台・1ワークに限定して自動化し、
安定したら対象を増やす方法もあります。
「完全無人化できるか」ではなく、
「どの時間を無人化すると効果が大きいか」
から考えることも重要です。
■ まずこの10項目を確認する
工作機械へのワーク着脱を検討するなら、
最低限次を整理します。
・ワーク形状
・ワーク重量
・加工時間
・1日の数量
・品種数
・現在のチャック・治具
・素材の供給方法
・完成品の排出方法
・人が途中で行っている作業
・希望する無人運転時間
ここまで分かれば、
必要な自動化方式をかなり絞り込めます。
■ 釜屋ではロボットを選ぶ前からご相談いただけます
「この協働ロボットを付けたい」
と機種を決める必要はありません。
現在の工作機械とワークを確認し、
ロボットが必要なのか
専用ローダがよいのか
産業用か協働か
ストッカーはどうするか
測定まで自動化するか
を一緒に整理します。
工作機械へのワーク着脱は、
ロボット単体ではなく、
工作機械
ロボット
ハンド
治具
ワーク供給
測定
安全対策
を一つの工程として考えることが重要です。
「人がワークを入れている時間を減らしたい」
「夜間も機械を動かしたい」
「人を別の工程へ移したい」
という段階からご相談ください。
自動化・省人化については、
釜屋オンラインの「自動化・省人化」ページでも情報をまとめています。
自動化・省人化について詳しく見る
https://kamaya-online.jp/automation/
産業用ロボットと協働ロボットの違いについては、
「産業用ロボットと協働ロボットは何が違う?」
の記事もあわせてご覧ください。
釜屋オンライン


