3Dプリンターは試作だけ?製造現場で考えたい活用方法
3Dプリンターは試作にしか使えない。
そう思っていないでしょうか。
結論から言えば、現在の3Dプリンターは
試作品だけでなく、
治具
固定具
検査用補助具
作業補助具
交換部品
少量の実用品
などにも使える場合があります。
ただし、
何でも3Dプリンターで作ればよいわけではありません。
切削加工の方が適するもの、
金属で作るべきもの、
3Dプリンターだからこそメリットが出るものを
分けて考えることが重要です。
■ 3Dプリンター=試作品、で止めない
3Dプリンターの代表的な用途は試作です。
設計した形状をすぐに実物で確認できるため、
形状確認
組付け確認
干渉確認
デザイン確認
などに使われてきました。
しかし製造現場では、
試作以外にも活用範囲があります。
実際にFormlabsは、
製造現場向け用途として
治具、固定具、工具、交換部品などを挙げています。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
Stratasysも、
組立、穴あけ、検査などで使う治具・固定具を
3Dプリンターで製作する用途を紹介しています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
つまり、
「製品そのものを3Dプリンターで作るか」
だけではなく、
「工場内で使っている道具を作れないか」
という視点が重要です。
■ 最初に検討したいのは治具・補助具
製造現場で3Dプリンターを活用するとき、
比較的考えやすいのが治具や補助具です。
例えば、
・組立時の位置決め治具
・検査用固定具
・ワーク受け
・部品トレー
・穴あけガイド
・作業者が使う補助具
・ロボットハンドの一部
・保護カバー
などです。
こうしたものは、
大量に必要ではない
形状変更が多い
現場ごとに専用品が必要
という特徴があります。
このような用途は、
3Dプリンターの特徴と相性がよい場合があります。
■ なぜ治具と相性がいいのか
例えば専用治具を1個だけ作りたい場合。
通常の切削加工では、
設計
材料手配
加工
仕上げ
という工程が必要になります。
一方、3Dプリンターでは
3Dデータがあれば直接造形できます。
特に、
複雑形状
軽量化
少量
頻繁な設計変更
といった条件では、
3Dプリンターのメリットが出やすくなります。
Stratasysも、
3Dプリント治具の特徴として
カスタマイズ性、短納期、設計自由度、軽量化などを挙げています。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
■ 軽くできることもメリット
金属製の治具は丈夫ですが、
大きくなると重量も増えます。
作業者が1日に何十回も持つ治具であれば、
重量は作業性へ大きく影響します。
樹脂系材料で必要強度を確保できる場合、
3Dプリンターを使って軽量化できる可能性があります。
内部を中空にしたり、
必要な部分だけ厚くしたりする設計も可能です。
つまり、
「金属と同じ形を樹脂で作る」
のではなく、
3Dプリンター向けに形状そのものを変える
という考え方が重要です。
■ ロボットハンドにも使える場合がある
ロボット自動化でも、
3Dプリンターを活用できる可能性があります。
例えば、
ワークをつかむ爪
専用アタッチメント
吸着部の形状
ワークガイド
などです。
多品種少量では、
ワークごとに専用ハンドを金属加工すると
コストや製作時間が増えることがあります。
そこで、
共通ハンド+3Dプリントした交換部
という構成にすれば、
品種替えへ対応しやすくなる場合があります。
これは、これまでの記事で紹介してきた
多品種少量自動化とも相性のよい考え方です。
■ 検査工程でも使える
3Dプリンターは、
加工工程だけでなく検査工程でも活用できます。
例えば、
測定物を固定する治具
姿勢を一定にする治具
位置決め用ガイド
検査用トレー
などです。
測定そのものを自動化しても、
毎回ワークの置き方が変わると
測定結果が安定しにくくなる場合があります。
そこで、
ワークを一定位置へ置ける簡単な治具を用意するだけでも
作業標準化につながる可能性があります。
Stratasysも3Dプリント治具の用途として
検査用治具を明示しています。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}
■ 交換部品という考え方
工場では、
機械のカバー
ノブ
ガイド
スペーサー
樹脂ブロック
など、
小さな部品が壊れて設備が止まることがあります。
メーカーから取り寄せると納期がかかる。
すでに古い設備で部品がない。
こうした場合、
材質や安全性などの条件が合えば、
3Dプリンターで代替部品を作れる可能性があります。
Formlabsも、
工場内で使用する交換部品や工具を
製造支援用途として紹介しています。 :contentReference[oaicite:4]{index=4}
ただし、
機械安全や強度に関係する重要部品を
安易に置き換えるべきではありません。
用途によっては純正部品や金属加工が必要です。
■ 最終製品にも使えるのか
3Dプリンターは、
最終的に販売・使用される部品にも利用されています。
Formlabsは、
end-use parts、つまり最終用途部品について
3Dプリンターによる製造用途を紹介しています。 :contentReference[oaicite:5]{index=5}
またStratasysも、
試作だけでなくproduction partsを
3Dプリンター用途として紹介しています。 :contentReference[oaicite:6]{index=6}
ただし、
ここは用途によって大きく条件が変わります。
強度
耐熱
耐薬品
寸法精度
表面品質
耐久性
数量
などを確認する必要があります。
「3Dプリンターなら何でも製品化できる」
という意味ではありません。
■ 切削加工との使い分けが重要
3Dプリンターと切削加工は、
どちらか一方へ置き換えるものではありません。
例えば、
高精度
高剛性
大量生産
金属材質必須
なら、
切削加工の方が適する場合があります。
一方、
少量
複雑形状
軽量化
短納期
頻繁な設計変更
なら、
3Dプリンターを検討する価値があります。
さらに、
3Dプリンターで大まかな形を作る
↓
重要部分だけ切削加工する
という組み合わせも考えられます。
重要なのは、
「3Dプリンターか切削か」と二者択一にしないことです。
■ 導入前に確認したいこと
3Dプリンターを導入するときは、
本体価格だけで判断しない方がよいでしょう。
確認したいのは、
・造形サイズ
・使用材料
・必要精度
・造形時間
・後処理
・材料費
・保守
・3Dデータ作成
・安全対策
です。
例えば、
プリントが終わればすぐ使えるとは限りません。
サポート除去
洗浄
硬化
研磨
などの後処理が必要な方式もあります。
つまり、
造形時間だけでなく
完成までの工程を見る必要があります。
■ 「何を作るか」を先に探す
3Dプリンター導入で避けたいのは、
先に設備を購入し、
後から用途を探す
ことです。
まず工場内を見て、
・外注している治具
・納期がかかっている補助具
・頻繁に変更している治具
・重くて使いにくい治具
・少量だけ必要な部品
・ロボット用の専用部品
がないか探してみます。
その中で3Dプリンターに向くものが
何個あるかを確認します。
用途が具体的になれば、
必要な造形方式や材料も選びやすくなります。
■ 釜屋では「3Dプリンターで何を作るか」から考えます
3Dプリンターを検討するとき、
最初からメーカーや機種を決める必要はありません。
現在、
何を外注しているのか
どんな治具を使っているのか
何個必要なのか
どの程度の強度が必要なのか
精度はどこまで必要なのか
を確認し、
3Dプリンターが向いているのか、
切削加工の方が適しているのかを整理します。
「3Dプリンターに興味はあるけれど、
試作以外に何へ使えばいいか分からない」
という段階からでも構いません。
まず製造現場の中で、
3Dプリンターに置き換えられそうなものを
一緒に探してみませんか。
自動化・省人化については、
釜屋オンラインの「自動化・省人化」ページでも情報をまとめています。
自動化・省人化について詳しく見る
https://kamaya-online.jp/automation/
次の記事では、
「治具を3Dプリンターで作れる?」
というテーマでもう少し具体的に解説します。
釜屋オンライン


