工作機械を夜間も動かしたい|無人運転を始める前に考えること
工作機械を夜間も動かしたい。
人手不足や設備稼働率を考えると、
「昼間だけではなく、夜間や休日も機械を動かせないか」
という相談は今後さらに増えていくと考えられます。
結論から言えば、夜間無人運転は
「工作機械にロボットを付ければ完成」というものではありません。
ワーク供給、工具寿命、切りくず、クーラント、測定、
異常停止したときの対応まで含めて、
「人がいなくても止まりにくい工程」を作ることが重要です。
■ 最初に考えるのは「どう動かすか」ではなく「なぜ止まるか」
無人運転を考えると、
最初にロボットやパレットシステムへ目が向きがちです。
しかし、その前に確認したいのが、
現在の加工がなぜ止まっているのかです。
例えば、
・材料を交換するために止まる
・完成品を取り出すために止まる
・工具交換や工具確認で止まる
・切りくずを除去するために止まる
・クーラント補充で止まる
・寸法測定で止まる
・機械異常で止まる
・段取り替えで止まる
などがあります。
人がいる昼間であれば、
少し止まっても作業者が対応できます。
ところが夜間無人運転では、
一度止まると朝まで停止したままになる可能性があります。
そのため、まずは
「現在、人が何をしているから機械が動き続けているのか」
を洗い出すことが重要です。
■ ワークをどう供給するか
最も分かりやすい自動化がワークの供給です。
旋盤であればロボットやローダ、
マシニングセンタであればパレットシステムなどを利用して、
加工済みワークと未加工ワークを交換します。
ただし、単純にロボットを設置すればよいとは限りません。
確認したいのは、
・ワーク重量
・ワーク形状
・素材の置き方
・完成品の置き方
・1晩に必要なワーク数
・加工時間
・品種数
・チャックや治具
・加工機との信号連携
などです。
例えば加工時間が30分で、
10時間無人運転したいのであれば、
単純計算では20個分程度のワーク供給能力が必要になります。
実際には工具交換や加工条件、
停止リスクなども考慮する必要がありますが、
こうして「何時間動かしたいのか」から逆算すると
必要な自動化設備が見えやすくなります。
■ パレットによる自動化という方法もある
マシニングセンタでは、
ロボットでワークそのものを交換する方法だけでなく、
治具ごとパレットを交換する方法があります。
DMG森精機では、
CPP(Compact Pallet Pool)や
LPP(Linear Pallet Pool)などの
パレットプールシステムを展開しています。
同社はCPPについて、
自動運転による長時間稼働が可能で、
夜間の無人運転にも対応できると説明しています。
また、パレットごとに異なるワークや治具を準備できるため、
多品種少量生産の自動化にも利用できます。
夜間無人運転=ロボットだけではなく、
加工内容によってはパレット方式の方が適している場合もあります。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}
■ 工具寿命を無視すると夜中に止まる
ワークを自動供給できても、
工具が寿命を迎えれば加工は続きません。
特に長時間運転では、
・工具寿命はどれくらいか
・何個加工すると交換が必要か
・予備工具を用意できるか
・工具折損を検知できるか
・工具摩耗による寸法変化をどうするか
といった確認が必要です。
例えば1本の工具で50個加工できるとしても、
夜間に60個加工する計画なら、
途中で工具交換が必要になります。
人がいない時間帯にどこまで機械自身で対応できるかを
事前に確認しておく必要があります。
■ 切りくずとクーラントも重要
意外に見落とされやすいのが、
切りくずとクーラントです。
昼間は作業者が定期的に切りくずを確認したり、
クーラント量を見たりしているため、
大きな問題になっていない場合があります。
しかし無人運転では、
切りくずが詰まったり、
加工部へ絡んだりすると、
長時間停止につながる可能性があります。
DMG森精機も、2026年8月に発表したINHシリーズの説明で、
長時間の連続・無人稼働に向けた課題として
「切りくず・クーラント・ミスト」を挙げています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
つまり夜間運転では、
工作機械本体だけでなく、
加工を安定して続ける周辺環境まで確認する必要があります。
■ 測定をどうするか
昼間であれば、
加工したワークを作業者が測定し、
必要に応じて補正します。
しかし夜間無人運転では、
この作業も自動化するか、
少なくとも夜間は測定なしでも安定する工程にする必要があります。
方法としては、
・機上計測
・工具計測
・自動測定装置
・ラインサイド測定
・加工条件の安定化
などが考えられます。
重要なのは、
「ロボットでワークを交換できたから無人化完了」
ではないということです。
加工した後に人が測定しなければ次へ進めないのであれば、
そこが次の自動化ポイントになります。
■ 何時間無人にしたいかを決める
無人運転というと、
いきなり24時間完全無人化を想像しがちです。
しかし最初からそこまで目指す必要はありません。
例えば、
17時から21時まで4時間
↓
夜中まで8時間
↓
夜間全体
↓
休日運転
というように、
段階的に長時間化していく方法もあります。
まず4時間動かすだけでも、
毎日積み重ねれば設備稼働時間は大きく変わります。
「完全無人化できるか」ではなく、
「まず何時間、人がいなくても安定して動かせるか」
から考えた方が現実的です。
■ 自動化設備は加工内容によって変わる
夜間無人運転に使われる設備には、
・ロボット
・協働ロボット
・ガントリローダ
・パレットチェンジャ
・パレットプール
・自動工具交換
・工具計測
・機上測定
・搬送装置
などがあります。
例えばDMG森精機のAWCは、
NMVシリーズと組み合わせて長時間稼働や
夜間無人運転を想定したパレットチェンジャシステムです。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}
一方、ワーク着脱ではロボット方式が適するケースもあります。
つまり、
「自動化したいからロボット」ではなく、
どの加工を
何時間
何個
何種類
無人で加工したいのか
から設備を決めることが重要です。
■ 釜屋では「夜間何時間動かしたいか」からご相談いただけます
夜間無人運転を検討するときは、
最初から設備構成を決めていただく必要はありません。
まず、
・現在の工作機械
・加工ワーク
・加工時間
・ワーク数
・品種
・工具寿命
・現在人が行っている作業
・止まりやすい原因
・希望する無人運転時間
を確認します。
そのうえで、
工作機械を更新するのか、
既存機へロボットを追加するのか、
パレットシステムを利用するのか、
測定まで自動化するのか、
といった方法を検討していきます。
「夜間8時間全部動かしたい」でなくても構いません。
まず2時間、4時間でも人が付かずに加工できれば、
工場の生産能力を変えられる可能性があります。
工作機械の自動化・省人化については、
釜屋オンラインの「自動化・省人化」ページでも情報をまとめています。
自動化・省人化について詳しく見る
https://kamaya-online.jp/automation/
釜屋オンライン


