チタン部品に5軸加工機は必要?工程集約から考える設備選び

製品紹介

チタン部品を加工するなら、5軸加工機が必要なのか。

結論から言えば、
「チタンだから5軸」という考え方では設備選定できません。

重要なのは材質そのものより、

・何面加工するのか
・ワークを何回載せ替えているのか
・工具突出しが長くなっていないか
・複雑形状があるか
・びびりや加工精度に問題があるか

を見ることです。

こうした条件が重なっている場合、
5軸加工によって工程集約や段取り削減ができる可能性があります。

■ まず「チタンだから5軸」ではない

チタンは加工が難しい材料ですが、
単純な形状を1面加工するだけであれば、
必ずしも5軸加工機が必要とは限りません。

現在の3軸マシニングセンタで、

加工精度
加工時間
工具寿命
段取り

に問題がなく、安定して生産できているのであれば、
設備を5軸化する理由は小さいかもしれません。

逆に、

複数面を加工している
ワークを何度も反転している
斜め穴や複雑形状がある
長い工具を使用している

といった場合には、
5軸加工のメリットを検討する価値が出てきます。

■ 5軸加工のポイントは「段取りを減らせるか」

3軸加工では、
加工する面を変えるたびにワークを載せ替える場合があります。

例えば、

上面を加工

ワークを外す

90度回転

側面加工

再び外す

反対側を加工

という工程です。

この場合、
切削時間だけでなく、

ワーク取り外し
清掃
再固定
位置決め
原点確認
試し削り
測定

などが必要になります。

5軸加工機ではワークやテーブルの姿勢を変えながら加工できるため、
形状によってはワンチャッキングで複数面を加工できます。

そのため、
「5軸の方が速く削れるか」だけではなく、

「段取りを何回減らせるか」

を見ることが重要です。

■ チタン加工では工具突出しも見たい

チタン加工では、
工具や加工条件にかかる負担が大きくなりやすいため、
工具突出しが長い場合は特に注意が必要です。

深いポケットや複雑形状を加工するとき、
3軸加工ではワーク形状を避けるために
長い工具が必要になる場合があります。

工具突出しが長くなると、

びびり
たわみ
工具寿命低下
加工面悪化

などの問題が起こりやすくなります。

5軸加工では、
ワークや工具の姿勢を変えることで、
より短い工具を使える場合があります。

つまり、
5軸化の効果は加工面数だけではなく、
工具条件にも現れる可能性があります。

■ びびりを抑えるためにも姿勢が重要

チタン加工では、
加工条件によってびびりが発生することがあります。

びびりが出ると、

送りを下げる
切込みを浅くする
工具交換を増やす
仕上げ加工を追加する

といった対応が必要になります。

ここで重要なのが、

工具突出し
ワーク保持
ホルダ
機械剛性
工具姿勢

です。

5軸加工によって工具姿勢を調整できれば、
工具突出しを短くしやすくなり、
加工条件を安定させられる可能性があります。

ただし、
5軸加工機にすれば自動的にびびりが消えるわけではありません。

機械剛性、工具、保持、切削条件まで含めて考える必要があります。

■ 工程集約という視点で5軸を考える

5軸加工機を検討するときは、
加工機単体ではなく工程全体を見ることが重要です。

例えば、

3軸加工

載せ替え

別面加工

載せ替え

測定

修正加工

となっているのであれば、
5軸化によって途中工程を減らせないかを考えます。

特にチタン部品は、
加工時間だけでなく工具費や段取り時間も含めて
生産コストを考える必要があります。

加工機の価格だけを見るのではなく、

工程数
段取り時間
治具数
仕掛品
工具費
測定回数

まで含めて比較することが重要です。

■ DMG森精機の5軸加工機という選択肢

5軸加工を検討する際の具体的な選択肢の一つが、
DMG森精機のDMUシリーズです。

2026年9月現在、DMG森精機では
DMU 40、DMU 50 3rd Generation、
DMU 40 eVo、DMU 60 eVo 2nd Generation、
DMU 80 eVoなどの5軸加工機を展開しています。

DMU eVoシリーズは、
NC自動旋回テーブルを搭載した同時5軸加工機で、
DMG森精機は最適化した門形構造により
安定した同時5軸加工を狙ったシリーズと説明しています。

例えばDMU 40 eVoは、
テーブル作業面450×400mm、
最大積載質量250kgで、
医療、自動車、航空機などの小・中型ワークを対象としています。

ただし、
DMUシリーズがすべてのチタン部品に適するという意味ではありません。

ワークサイズ、材質、必要精度、加工内容、
主軸仕様、自動化の必要性などによって
適する機械は変わります。

■ 5軸加工機を検討したいワーク

次のような条件がある場合は、
5軸加工機を一度検討してみる価値があります。

・3面以上を加工している
・ワークの載せ替えが多い
・斜め穴がある
・複雑形状がある
・工具突出しが長い
・深いポケットがある
・びびりが問題になっている
・段取り精度が不安定
・工程集約したい
・将来的に自動化したい

逆に、

単純形状
1面加工中心
現在の3軸機で安定生産できている

のであれば、
5軸化を急ぐ必要はありません。

■ まず1ワークで比較してみる

設備更新を考えるときは、
工場全体を一気に5軸化する必要はありません。

代表的なチタン部品を1つ選び、

現在の工程
段取り回数
加工時間
使用工具
工具突出し
工具寿命
測定時間
仕掛時間

を整理してみます。

そのうえで、

3軸のまま改善する
5軸加工へ変更する
複合加工機へ工程集約する

という方法を比較します。

この順番で考えると、
5軸加工機を導入する目的が明確になります。

■ 釜屋ではワークから設備選定を考えます

「チタン加工だから5軸機を買いたい」
と機種を決めてから相談いただく必要はありません。

現在のワーク図面や加工工程を確認し、

どこに時間がかかっているのか
何回段取りしているのか
工具突出しはどの程度か
どの面を加工しているのか

から設備選定を考えることができます。

5軸加工機が適している場合もあれば、
現在の3軸加工機と工具・治具を見直した方がよい場合もあります。

チタン加工で設備更新や工程改善を考えている場合は、
まず現在のワークと工程からご相談ください。

工作機械の選定・導入・更新については、
釜屋オンラインの「工作機械」ページでも情報をまとめています。

工作機械について詳しく見る
https://kamaya-online.jp/machine-tools/

チタン加工そのものの工具寿命・熱・切削条件については、
「チタン加工はなぜ難しい?」の記事もあわせてご覧ください。


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